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NHKとBBC ポリティクスリテラシー

毎日新聞の記事から。3ヶ月くらいでWebから削除されるので適度に抜粋。

トップが辞任した日英の公共放送(山科武司)

 3年余り勤めた職場をダイク氏(=BBC編集部門の最高責任者、グレッグ・ダイク前社長)が笑顔で去る時、職員ら3000人以上が取り囲んで別れを惜しんだ。好対照なトップ2人に、自らを律する具体的な行動指針を公開し、国民の信頼を勝ち得た組織は強い、と思った。
 ダイク氏は「視聴者のためにあらゆる圧力からBBCを守り公正中立な立場を維持することが、私のBBCでの仕事。それは果たせた」「政治的に独立しないとBBCに存在意義はない」などと繰り返した。 
 NHKと同様、国民から受信料を受け取り、議会のチェックを受ける報道機関でありながら、BBCは伝統的に政府と距離を置き、さまざまな圧力に対抗してきた。それを支えるのが取材・放送のルールを定めたガイドライン(指針)だ。「国民がBBCを信頼する根幹」である「プロデューサーズガイドライン」はA4判で360ページ。「不偏性」「正確性」「公正性」の条件を厳密に定めている。
 正確性では「情報源は単独でないほうが望ましい。匿名の情報源の場合、事案が公共の利害にかなうことが必要」などと明記。特別に章を立てた「政治とのかかわり」では「政治家へのインタビューは意図を明確に」とし、出演料の支払いは「早朝深夜に出演した場合だけ」とするなど、事細かに規定している。 
英メディアと政治の関係を研究するウェストミンスター大学のスティーブン・バーネット教授は「ジャーナリストを圧力から守るだけではなく、指針は政治家にも役立つ」という。指針から逸脱していると政治家が指摘すれば、「圧力」と非難を受けずに抗議できるからだ。
 NHKも取材・政策の倫理面の指針として97年に「放送ガイドライン」を作成した。しかしNHKのホームページで確認できたのは「NHK倫理・行動憲章」と国内外の「番組基準」ぐらいで、放送ガイドラインの具体的内容はうかがえなかった。
 「番組改変に政治家の圧力があった」と報じた朝日新聞にNHKは反発した。これは朝日とNHKの認識する「圧力」が異なるために起きた問題ではないかと思う。仮に放送ガイドラインが公開されていれば論争は別の展開をみせ、水掛け論にはならなかったのではないか。

 
ちなみに、BBCの不祥事とは2003年、イギリス政府の報告書が「イラクの脅威を伝える情報を間違いと知りながら記載した」と報じた事に政府が反発。調査委員会はBBCのみ非を認める決定を下して、社長とその上の会長が辞任に追い込まれた。しかし、政府はイラクの脅威をウソではなくても強調しすぎていたことが判明、政府の方が分が悪くなっちゃた。

そして、ガイドラインに関して。BBCではインターネットで公開している。NHKのそれとは比べ物にならない(と、いうかNHKは技術的な話に終始してるメディアリテラシーの世界。というサイトの)リンクリストから。

毎日新聞の続き
 ダイク氏が社長在任中にインターネットで指針が閲覧できるようになった。「指針の中身を知ることで取材・報道が妥当か、視聴者自身も判断できるように」(同氏)だ。昨年の対立では、指針と照会した結果を踏まえBBCは政府の抗議をはねのけた。辞任後のダイク氏の笑顔は「指針は大筋で間違っていない」との自負心からだったろう。

by tv_asami | 2005-02-01 14:12 | ニュース&セイジ